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母の家

師走も押し迫って、気になるのは、お正月をどうするかってこと。

毎年、今頃になると、実家とやりとりするわけだけど、今年は気軽に電話するのをはばかってしまう。


果たして母は一時帰宅するのか。


グループホームは、決して母の家ではない。母のものは何もない。洋服も、着物も、化粧品も、とりあえず揃えたもの。タンスの引き出しには、色とりどりの、あふれんばかりのセーター類。たぶんお嫁さんが気を遣って送ってくれたのだろうけど、私は、ここ数年、そのセーターを着ている母を見たことがない。そして、そんなセーターを着て、母が一人で出かけるところは、もうどこにもない。


いや、あの家でさえ、母の家ではないのかもしれない。今の母の本当の家は、父が開業していて、私たちが子どもだった頃の、建て替える前の家か、それとも娘時代を過ごした、福岡の畑の中の、広大なお屋敷か。


そうだよね。お嫁さんは忙しい中で、いろいろ気をつかってくれている。セーターだって何だって、母にしてみれば、もう自分で選ぶことなんか、できやしないのかもしれないのだし。


考えてみれば、私は、母が生涯好きだったこととか、ずっとお気に入りだったものとか、ちゃんとは知らないのかもしれない。いつも母の近くにあった、書道の道具とか、メガネとか、時計とか、あれは私が、そう思い込んでいるだけなのかもしれない。


このあいだ、キャラメルの包み紙を、ぶつぶつ言いながら、少し離れたゴミ箱にポンと投げ入れたのには笑ったけど。そういや昔から、いつも、ミカンの皮とか、ちょっと離れたゴミ箱に投げ入れていた。これがかなりの命中率で、けっこうコントロールはいいほうなんだろう。そういうところは残るんだなと、ふと思い出してみたり。


けっきょく、母がいなければ、あの家も、もう私の実家ではない。

(おとな愉快団!「チーム三行半」こてちママ)

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