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老いの坂

舅は89歳、姑は83歳と私たち夫婦は同居している。

老いの坂は音もなく急速にかけ降りる感じだ。


昨日したことを覚えていないのはフツーのこと、昔のことだけは覚えているのが少し前の状態だったが、今はもう、昔のことも語りたがらない。

話すことが大儀なのか…、忘れ果ててしまったのか…、聞いても答えは返ってこない。これが舅の毎日。

だから私は、姑には極力話しを聞いて気がつくことは、質問する、を繰り返す。しかし、今話したことすら彼女は忘れる。そして自分が決めたように何でもしている。


楽しそうな彼女の行動を見ながら、いつまでも、このままで、と願う。


しかし、主人は少し違う。「人は衰える、人は滅んでいく」と。

「どなたはんですか」と私のことを聞くようになるだろうな、と笑いながら言う。

聞いているうちは老いの坂の傾斜は緩やかなのか。


もし、彼に「どなたはんですか」と聞かれたら……。


私のご機嫌がよければ、

大昔あなたが恋い焦がれた人よ

ご機嫌がわるければ、

ヘルパーです

と言おうかな。

(おとな愉快団!「チーム三行半」u子@介護の明け暮れ)

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